島根ビジョンネットワーク

第20回 ロービジョン研修会を開催しました

2022年3月1日

2022年2月6日にオンライン配信（Zoom・YouTube Live）で、定例のロービジョン研修会を開催しました。

今回のテーマは「ロービジョンケア先進地 高知県の現状を知って、島根県のロービジョンケアの未来を語ろう！」です。司会は、全国的にも活躍され、島根でもおなじみの田中桂子さん（神戸アイセンター病院 心理カウンセラー）にお願いしました。

島根ビジョンネットワークでは、スマートサイト（ロービジョンケア紹介リーフレット）を2019年10月に作成し、眼科・市町村窓口・患者会・眼鏡店を通じて配布をしています。配布開始後2年経過しましたが、リーフレットからロービジョンケアに繋がった方がありません。

そこでリーフレットのお渡し方法、運用をどのようにしすれば有効に活用できるのかを高知県町田病院の別府あかねさん（歩行訓練士・視能訓練士）にご講演していただきました。別府さんは高知県で17年間歩行訓練士として視覚リハビリに携わられた後、視能訓練士の視覚を取得され、神戸アイセンターNEXT VISIONで2年、その後現在の町田病院にご勤務されています。

ご講演の内容は「スマートサイトを中心とする医療・教育・福祉の連携について」でした。高知県での視覚リハビリテーションのシステムが十分に出来ていない時から、ご自身が少しづつ各方面との連携をとって現在のシステムが出来るまでの経緯をお話しいただきました。この中で課題として、医療との連携、歩行訓練士の増員、行政との連携、支援施設との連携、高齢視覚障害者のケアを挙げておられました。これは島根県にも共通する課題だと感じました。

高知県ではスマートサイトを作成されたあと医療機関から配布された数が1年目と比べて2年目が4倍にもなっており、福祉施設への相談・生活訓練の依頼元の割合としての医療機関からの紹介が増えてきていました。これは医療機関から患者さんに適切なタイミングでうまく説明をしてスマートサイトが渡されていて、必要な方が繋がるようになったとためだと考えられます。スマートサイトは渡し方を工夫することで有効に利用されるものであると再認識させられました。

また、スマートサイトを通じて福祉で対応された方に紹介した機器やグッズ、紹介した社会資源、継続した支援の有無などが記載できる「スマートサイト対応報告書」も作られており、福祉から医療へ情報提供が出来る仕組みも出来ているということでした。私たちは、スマートサイト作成して満足している状態になっていて、これから配布後の運用に関しての見直しが必要と感じさせられました。

ご講演の後、当事者・盲学校・医療・福祉の代表者がそれぞれ現在の活動や今後の島根県での取り組みについてディスカッションしました。

当事者からは自分の視機能を知ることで残存視覚をどのように用いたら生活が楽にできるかの気づきを得られる支援をして欲しいとの要望がありました。盲学校では子どもたち同士のふれあいを大切にすること、大学・専門学校から講義や研修の依頼があったり、盲学校を知ってもらう活動として地域の方に盲学校の見学会を開催して視覚障害を知っていただく活動をされていました。医療からは患者さんへ伝わるようなスマートサイトの渡し方、渡す側の説明の方法や外来受診された方に少しの時間を使ってロービジョンケアの事を説明してみるという事をしていきたいとのことでした。福祉からは、他業種と合同での福祉機器展示会や、支援機関との横のつながりが出来てきたので今後は行政との繋がりを作りたいという話が出ました。

今回の研修会では別府さんのご講演で高知県での取り組みを知り、今回気づけた課題を検討し島根県もバージョンアップしていきたいという思いが強くなりました。

当日ご視聴いただいたたくさんの皆様、ありがとうございました！

※おまけ